インラインチャットによる効率的なコード編集

学習目標

エディタやターミナル内で直接Copilot Chatを使用し、コンテキストを切り替えることなく効率的にコードを編集する方法を学習します。

学習内容

1. インラインチャットの基本

インラインチャットとは

エディタ内で直接起動するチャット
選択したコードや現在のファイルに焦点を当てた編集
コンテキストの切り替えが不要

2. エディタインラインチャット

演習1: 基本的な起動と操作

インラインチャットの起動

キーボードショートカット: Ctrl+I

簡単なコード変更

// 以下のコードを選択
public class User
{
    public string Name { get; set; }
    public string Email { get; set; }
}

インラインチャットで実行: - "コンストラクタを追加" - "バリデーションを追加" - "ToStringメソッドを実装"

3. コードリファクタリング

演習2: 既存コードの改善

メソッドの抽出

public class OrderProcessor
{
    public void ProcessOrder(Order order)
    {
        // 在庫確認
        foreach(var item in order.Items)
        {
            var stock = GetStock(item.ProductId);
            if(stock < item.Quantity)
            {
                throw new InsufficientStockException($"商品{item.ProductId}の在庫が不足しています");
            }
        }

        // 価格計算
        decimal total = 0;
        foreach(var item in order.Items)
        {
            var price = GetPrice(item.ProductId);
            total += price * item.Quantity;
        }

        // 割引適用
        if(total > 10000)
        {
            total *= 0.9m;
        }

        order.TotalAmount = total;
    }
}

選択してインラインチャット: "各処理を個別のメソッドに抽出してください"

パフォーマンス最適化

// 非効率なコード
public List<string> GetActiveUserNames()
{
    var names = new List<string>();
    var users = GetAllUsers();
    foreach(var user in users)
    {
        if(user.IsActive)
        {
            names.Add(user.Name);
        }
    }
    return names;
}

インラインチャット: "LINQを使って最適化"

4. エラー修正

演習3: 問題の迅速な解決

コンパイルエラーの修正

public class Calculator
{
    public int Divide(int a, int b)
    {
        return a / b; // エラー: ゼロ除算の可能性
    }

    public async Task<string> GetDataAsync()
    {
        var result = await HttpClient.GetStringAsync("https://api.example.com");
        // エラー: HttpClientが定義されていない
        return result;
    }
}

エラー箇所でインラインチャット: "/fix"

5. コード生成

演習4: 新しいコードの追加

インターフェースの実装

public interface IEmailService
{
    Task SendEmailAsync(string to, string subject, string body);
    Task SendBulkEmailAsync(List<string> recipients, string subject, string body);
    bool ValidateEmailAddress(string email);
}

public class EmailService : IEmailService
{
    // カーソルをここに置いてCtrl+I
    // "インターフェースを実装"
}

ユニットテストの生成

public class StringHelper
{
    public static string Reverse(string input)
    {
        if (string.IsNullOrEmpty(input))
            return input;

        char[] chars = input.ToCharArray();
        Array.Reverse(chars);
        return new string(chars);
    }
}

メソッドを選択してインラインチャット: "このメソッドの単体テストを生成。xUnitを使用し、エッジケースも含める"

6. ターミナルインラインチャット

演習5: コマンドラインでの活用

ターミナルでインラインチャットを起動
統合ターミナルで Ctrl+I

コマンドの生成

プロンプト例:
- "現在のディレクトリのC#ファイル数を数える"
- "最近変更されたファイルトップ10を表示"
- "すべての.csファイルでTODOコメントを検索"

複雑なコマンドの構築

プロンプト:
- "gitで過去1週間のコミットを著者別に集計"
- "dockerコンテナのログをフィルタして特定のエラーを抽出"
- "プロジェクト内のNuGetパッケージをすべて最新版に更新"

実践プロジェクト

シナリオ: レガシーコードのモダナイゼーション

インラインチャットを使って、古いコードを段階的に改善します：

Step 1: 古いパターンの識別

// レガシーコード
public class DataAccess
{
    public DataSet GetUserData(int userId)
    {
        SqlConnection conn = new SqlConnection("...");
        SqlCommand cmd = new SqlCommand("SELECT * FROM Users WHERE Id = " + userId, conn);
        SqlDataAdapter adapter = new SqlDataAdapter(cmd);
        DataSet ds = new DataSet();
        adapter.Fill(ds);
        return ds;
    }
}

選択してインラインチャット: "このコードの問題点を指摘してください"

Step 2: 段階的な改善
SQLインジェクション対策: "パラメータ化クエリに変更"
using文の追加: "リソースの適切な解放を実装"
非同期化: "async/awaitパターンに変更"

Step 3: モダンなパターンへの移行

インラインチャット:
"Entity Framework Coreを使用した実装に変更"

ベストプラクティス

効果的なインラインチャットの使い方

具体的な指示
❌ "改善して"
✅ "nullチェックとログ出力を追加"
段階的な変更
大きな変更は小さなステップに分割
各ステップでテストを実行
コンテキストの活用
必要な部分だけを選択
関連するコードも含める

トラブルシューティング

よくある問題と対処法

インラインチャットが起動しない
VS Codeの最新版を確認
Copilot拡張機能の有効化を確認
キーボードショートカットの競合を確認
提案が期待と異なる
より具体的なプロンプトを使用
必要なコンテキストを選択
スラッシュコマンドを活用

高度な使い方

マルチカーソル編集との組み合わせ

複数箇所の同時編集
Alt+クリックで複数カーソル設置
各位置でインラインチャット起動
一括で類似の変更を適用

正規表現との組み合わせ

プロンプト: "選択した変数名をすべてキャメルケースに変換"

カスタムスニペットの生成

インラインチャット: "このパターンのVS Codeスニペットを生成"

まとめ

学習した内容： - エディタとターミナルでのインラインチャット起動方法 - コードのリファクタリングと最適化 - エラー修正とコード生成 - ターミナルコマンドの効率的な作成 - 実践的なシナリオでの活用方法

次のステップ

次は「プロンプトエンジニアリング」について学習し、より効果的なプロンプトの作成方法を習得しましょう。